「今日はパット数が32だったから、まあまあ良かったな」——ラウンド後にこう振り返る方は多いと思います。でも、そのパット数という数字、実はあなたの本当のパッティングの実力をほとんど語っていないかもしれません。世界最高峰のPGAツアーですら、長年使ってきたパッティング指標の欠陥を認め、まったく新しいモノサシに切り替えました。今回は、その新しい指標「SGP(パッティングで稼いだ打数)」を、スコア90〜110のアマチュアの方にもわかりやすく解説していきます。
パット数が「実力を測れない」理由
パット数は、グリーン上で何回パターを打ったかを数えるだけのシンプルな指標です。だからこそ、ある大きな落とし穴があります。
2パットの中身がまったく違う
たとえば、同じ「2パット」でも中身はバラバラです。Aさんは1メートルの距離から2回かけて沈めた2パット。Bさんは15メートルのロングパットを見事に寄せて、最後の30センチを沈めた2パット。数字の上ではどちらも「2」ですが、パッティングの巧拙でいえばBさんのほうがはるかにうまいのにパットスコアではAさんと同じ評価になってしまうのです。
アプローチが上手い人ほど損をする
もうひとつの欠陥は、グリーンに近づける技術が高い人ほどパット数が悪く見えやすいことです。アプローチでピンそば50センチに寄せれば、残りは短い1パット。一方、グリーンの端にしか乗せられなかった人は、まず長いパットを打つので2パット以上になりがちです。本当はアプローチの差なのに、その責任がパット数に押し付けられてしまう——これがパット数という指標の構造的な弱点でした。
PGAツアーが指標を捨てた2011年
『ゴルフデータ革命』によれば、PGAツアーは2010年まで、パット数を含む3つのパッティング指標を使っていました。しかし、いずれも上記のような欠陥を抱えていることがはっきりしてきます。
MITの研究者とマーク・ブロードの登場
そこで2011年、ツアーはこれらの古い指標を正式に手放し、新しい評価方法を導入します。それが、MITの研究者とコロンビア大学のマーク・ブロード教授が共同開発した「ストロークス・ゲインド・パッティング(SGP=パッティングで稼いだ打数)」です。膨大なショットデータを統計的に分析して生まれた、いわばパッティングの科学的なモノサシでした。
SGPとは「基準と比べて何打得したか」
SGPの考え方は、慣れてしまえばとてもシンプルです。「その距離なら、平均的にあと何打で入るか」という基準値を、過去の膨大なデータからあらかじめ用意しておくのがポイントです。
数字で見るとこうなる
たとえば、あるデータでは「2.4メートルのパットは、平均すると入れるまでに1.5打かかる」という基準があるとします。あなたがこの距離を1打で沈めれば、基準より0.5打おトク。SGPはプラス0.5と記録されます。逆に3パットしてしまえば、基準1.5打に対して2打多くかかったのでマイナス。こうして1ホールごと、1パットごとに「基準と比べて得したか損したか」を積み上げていくのが、SGPという指標です。これなら、先ほどのBさんの15メートルを寄せた技術もきちんとプラスとして評価されます。
SGPの本当のすごさは「弱点が見える」こと
SGPの発想は、パッティングだけにとどまりません。同じ「基準と比べて何打得したか」という考え方を、ティーショット・アプローチ・ショートゲーム・パッティングの4つの場面すべてに当てはめられるのです。
あなたの「本当の弱点」はどこか
スコア100前後で伸び悩む方の多くは、「ドライバーが飛ばないから」と感じています。でも、ストロークス・ゲインドの考え方で自分のプレーを場面ごとに分解してみると、実は100ヤード以内のショートゲームで毎回1〜2打ずつ損をしていた、というケースが少なくありません。感覚や思い込みではなく、客観的な数字で弱点を切り分けられる——これが、プロの世界を変え、いまアマチュアにも広がりつつある最大の理由です。
まずは自分のパットを疑ってみる
厳密なSGPの計算は専用アプリがないと難しいですが、考え方を知るだけでも見え方は変わります。次のラウンドで、ぜひ「短い距離を外した数」と「長い距離を寄せた数」を分けて記録してみてください。パット数という1つの数字では見えなかった、あなたの本当のパッティングの姿が浮かび上がってくるはずです。
道具を見直すのも一つの手
自分の弱点が「短い距離のパット」だとわかれば、練習だけでなく道具の見直しも効いてきます。ストロークのタイプや距離感の出しやすさは、パターのヘッド形状や重さによっても変わりやすいからです。自分のパッティング傾向に合った1本を選べば、同じ努力でもスコアに反映されやすくなることが期待できます。どんなモデルが人気なのか気になる方は、ゴルフパター 売れ筋ランキングTOP5【2026年5月最新】もあわせてチェックしてみてください。
パット数という古いモノサシを、PGAツアーはすでに手放しました。私たちアマチュアも、「何打打ったか」ではなく「基準と比べて得したか損したか」という視点を持つだけで、練習も道具選びもぐっと的確になっていきます。まずは今日のラウンドから、自分のパットの中身に目を向けてみませんか。